京都の設計者の保育園園舎づくり

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設計者の選定方法 ― より良い園舎づくりの協同の役割を発揮できる方法を
保育園の設計者選定では、行政の指導もあり、設計事務所を設計料で競争させ、安い方に決める方法が広がっていますが、それがより良い保育園づくりを阻害することを危惧しています。 保育園の設計では、いろいろな要件をクリアする必要があり、子どもや保育者、保護者などに寄り添った計画とするためには、設計プロセスに参加し協同して設計する過程が大切と考えます。
設計者選定で大事なこと
設計者選定で大事なのは、保育理念にもとづき、協同してすすめる設計者の保育園設計や設計プロセスの考え方、設計技術、工事監理や使いこなすアフターケアも含めた協同の信頼関係と考えます。 信頼にもとづく委任関係として、事前相談から企画・設計・工事監理・使用過程まで協同してすすめる関係です。請負工事のように、決まった図面・仕様にもとづき、価格で競争させることでより安い価格で品質を確保する業務ではありません。設計入札などの価格競争で選定する方法は、設計者の役割を限定し、品質低下をすすめより良い保育園づくりの協同関係を壊すものとなります。
価格競争によらない選定方法を
価格競争によらない選定方法では、信頼のある設計者を指名する方法、選定委員会による推薦やヒアリング選定方法、設計者の考え方の提案により選定する方法、設計提案により選定する方法、設計者の業績を評価して選定する方法などがあります。そのなかでも設計者への負担が大きい場合や価格を選定条件にしている場合もあり、その改善も求めています。 協同関係がすすむ選定方法について、懇談・意見交換をすすめ共に考えていきたいと思います。  
 
保育園の設計料の実態は、国交省告示基準の5~6割程度 
長時間・サービス残業による低い人件費単価が実態   
   
■ 業務量に見合った設計報酬が必要です 
保育園の設計監理料の事例では、工事費の5~7%となっていますが、国交省の設計報酬基準による算定と比較すると、5割程度の水準です。 
A保育園(定員90名) B保育園(定員120名)
鉄骨造3階 鉄筋コンクリート造3階
延床面積:868㎡ 延床面積:989㎡
〈国交省告示・設計報酬基準の算定〉
設計監理の標準業務量(人・時間)から換算 3820人・時間 4130人・時間
直接人件費×2(直接人件費+経費+間接経費) 2502万円 2705万円
実際の設計監理報酬(工事費5.8~6.8%) 1100万円 1500万円
設計報酬の告示基準比較 44.0% 55.4%
   
   
 ■ 適正な設計期間が必要です ― 標準の6割の短縮も多く、長時間労働と品質低下を危惧 
 
保育園設計では、国交省の標準業務量は、設計者2人で5.3ヵ月程度の設計期間が必要とされています。しかし、単年度予算の補助金制度との関係で、3ヵ月間程度で設計を求められます。結果として短期間で猛烈に設計するため、労働実態も悪くなってしまい、ミスや手戻りが起きやすくなり、精神的負担も大きくなります。  
<必要な設計期間> 国交省・業務報酬基準では   
保育園・床面積1,000㎡の場合: 基本設計・実施設計‐2,840人・時間(監理は除く)   
総合(意匠設計)で、1,700人・時間   
→3ヵ月期間の場合:2人で月283時間、休みなしで1日9.4時間必要です   
構造設計で、530人・時間、設備設計で、610人・時間   
→2ヵ月期間の場合:1人で月265時間、月305時間   
 
私たちは、保育園利用者に喜んでもらえることが一番の望みであり、そのためにも適正な設計期間を望んでいます。  
   
■ 設計者の賃金や労働時間が悪化しています 
< 残業月平均80時間以上が4割、その半分程度はサービス残業 > 
* 日経アーキテクチュア調査では、月平均80時間以上の残業をしている設計者は4割を超えています。その内、残業手当は半分程度というサービス残業で業務を行っているのが実態です。 
 
< 国交省技術者単価の5~6割の賃金単価 > 
* 働き盛りの30歳代で、総年収(残業手当含む)が300~437万円程度(京都の設計事務所) 
その結果、30歳代の賃金の時間単価は、1,309円~1,626円/時という水準です。 
国交省の技術者日額人件費は、技師C(大卒5年以上相当)で3,275円/時(社会保険込み)であり、その5~6割の水準です。 
設計者の適正な賃金・労働条件の確立が必要と考えます。 
 
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